准看護師から正看護師になると年収はいくら上がるか

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結論から: 准看と正看の年収差

厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、両者の年収差はおよそ 70〜100万円/年 あります。

資格全国平均年収(目安)
正看護師約519万円
准看護師約430万円
差額約89万円/年

これは「同じ職場で同じ業務をしていても」発生する差です。長期的なキャリア・退職金・昇進機会まで含めると、生涯賃金で 2,500〜3,500万円 の差になります。

なぜここまで差がつくのか

1. 法律上の業務範囲の違い

  • 正看護師: 自分の判断で看護業務を行える
  • 准看護師: 医師または正看護師の指示を受けて業務を行う

法的位置づけが異なるため、給与体系も別建てになっています。

2. 役職への昇進機会

リーダー・主任・師長といった役職は、原則として 正看護師にしか付与されません。役職手当(月¥10,000〜¥50,000)の積み重ねが、長期で大きな差を生みます。

3. 資格手当

多くの病院で、正看護師には「正看資格手当」として 月¥10,000〜¥30,000 が支給されます。准看護師にはこの手当がない or 金額が低い設定です。

4. 専門・認定看護師への道

専門看護師・認定看護師の受験資格は 正看護師 が前提。これらの資格を取ると、さらに月¥20,000〜¥50,000の上乗せがあります。准看のままでは このキャリアパスに進めません。

准看 → 正看 の取得ルート

ルートA: 進学コース(2年制)

  • 対象: 准看護師として 3年以上 実務経験がある人
  • 学校: 看護師養成所の進学コース、または看護専門学校2年課程
  • 期間: 全日制 2年、通信制 3年
  • 費用目安: 全日制 約100〜200万円、通信制 約30〜50万円

ルートB: 全日制看護学校

  • 対象: 経験不問
  • 期間: 3年
  • 費用目安: 200〜400万円

ルートC: 大学編入

  • 対象: 准看護師経験あり
  • 期間: 大学による
  • 費用目安: 国公立 約100〜150万円、私立 200〜400万円
  • メリット: 学士号も取れる、大病院・大学病院での昇進に有利

投資回収の計算(ペイバック期間)

ルートAの通信制(最安・現実的)を例に試算:

項目金額
学費(3年通信制)約 50万円
教材費・実習費約 10万円
通学交通費等約 10万円
総コスト約 70万円

年収アップ額: 約89万円/年

約9〜10ヶ月で回収完了

つまり、卒業して正看になった 1年目の途中で投資が回収 され、それ以降は純粋なプラスになります。長期で見れば 圧倒的に「取った方が得」 という結論になります。

ただし: 通信制の現実的なハードル

通信制は安価ですが、以下の負担があります:

  1. 病院実習が必須(年間 約100時間)
    • 仕事を休んで実習に行く必要がある
  2. スクーリング(年に数回の集中授業)
    • 同じく休みが必要
  3. 国家試験対策の自己学習
    • 平日夜・週末を使う

仕事と勉強の両立 がきつい時期がある。家族の理解とサポートが必須。

年代別のおすすめ判断

年代取るべきか
20代⭕ 絶対取るべき。生涯賃金差が最大
30代前半⭕ まだ十分ペイする。定年まで25年以上ある
30代後半⭕ ペイする。家族との両立だけ要検討
40代△ 体力的に厳しいが、ペイは確実。本人の意志次第
50代以降△ ペイ計算は通るが、学習負担が重い。明確な目的がある場合のみ

まとめ

  • 年収差は約89万円/年、生涯では2,500万円以上
  • 通信制 + 准看3年経験ルートで約70万円の投資、約10ヶ月で回収
  • 20〜30代なら 取らない方が損
  • ただし2〜3年の学習期間の負担は重い

ご自身の条件で「正看になった場合の年収」をシミュレーションするには、診断ツール で資格の有無を切り替えてみてください。


出典: 厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」 / 看護師等養成所運営に関する指導要領